カール・セーガン 人はなぜエセ科学に騙されるのか(下)

権利の章典は、言論の自由をはじめ、もろもろの自由を保障している。それがどれほど価値あるものなのか、それがなければどういうことになるのか、いかにこれを行使し、守ってゆけばいいのかlそれこそアメリカ市民がぜひとも学ばなければならないことだ。いや、アメリカばかりでなく、どこの国でも同じだろう。そうした権利がいまだ保障されていない国ならなおさらだ。自分の頭で考えることができず、権威に対して積極的に異議を唱えようとしなければ、われわれは権力を握る者の言いなりになるしかない。

一方、市民が教育を受け、自分の意見を形成するようになれば、そのとき権力を持つ者もわれわれのためになることをする。すべての国で、科学の方法と、権利の章典の意義とを子供たちに教えてゆかなくてはならない。品位も謙遜も、共同体意識も、そこから芽生えてくるだろう。悪霊に憑かれたこの世界で、迫り来る暗闇からわれわれを守ってくれるものは、ただそれだけかもしれないのだ。

P389-390

自炊記念。
「科学」と「権利の章典の意義」が重要で、そこから品位と謙遜、共同体意識が芽生えるだろう、というセーガン氏の祈り。某国の首相は、「美しい国」からそれを立ち上げようとしていて、気持ちはちょっと分かる。