危険運転致死傷罪のハードルの高さ

16歳女子高生の命奪ったトラック、ドラレコが残した度重なる赤信号通過も「見落としの可能性」判決のなぜ

ただ、危険運転致死罪を適用するのは簡単ではない。12月4日の初公判で、男は「赤信号を認識していながら無視してはいません」と故意の信号無視を否認。検察側は、赤信号を無視したのは「故意」と立証する必要があり、居眠りや脇見などで「見落とし」た可能性を排除しなくてはならない。

http://www.sankei.com/west/news/180109/wst1801090005-n1.html

西野裁判長は判決理由で、弁護側の主張通り「現場にたどり着くまでの走行状況を踏まえると、『一気に通過しようとした』との主張は唐突で不自然」と指摘。「(男が)赤信号を認識していた可能性は高いが、それが間違いないとまでは判断できない」として、「故意だった」との検察側の訴えを退けて「過失」と認定した。

ブレインスキャナーでも開発されない限り、危険運転致死傷罪の成立は無理っぽい

睡眠薬を飲んで運転しても無罪

大阪府豊中市で登校中の小学生の列に車で突っ込み、6人に重軽傷を負わせたとして、自動車運転死傷行為処罰法危険運転致傷罪などに問われた女性の裁判で、大阪地裁(田村政喜裁判長)は3月13日、無罪判決を言い渡した(求刑懲役4年6月)。

報道によると、女性は2015年5月、運転前に睡眠導入剤を服用し、正常な運転ができない可能性があると知りながら車を運転して、居眠り状態で小学生の列に突っ込んだとして起訴された。

判決では、女性が事故時に居眠り状態だったことを認める一方、交通量が相当ある道路で、右左折をしていた点に着目し、「特段注意力が減退していたわけではない」とした。薬物の影響で正常な運転に支障があるおそれがあったとは認めなかった。

検察側は、危険運転致傷罪が成立しなかったときのために、「眠気があったのに運転を中止する義務を怠った」として、予備的に女性を過失運転致傷罪でも起訴していたが、「眠気があったことは立証されていない」「運転中止の義務が生じていたか疑問が残る」として無罪とした。

https://www.bengo4.com/c_1009/n_5874/

もちろん、検察官は危険運転致傷罪が成立しないときに備えて過失運転致傷罪も主張していました。ただ、事故の原因である過失の内容は「眠気を催したのに運転を中止しなかったこと」であるとしました。

でも、裁判所は、女性は事故直前まで正常な運転をしていたのだから「眠気を催した事実」はないと判断をして、「検察官が主張する過失はない、過失がないのだから無罪である」と結論づけたのです。

もちろん、事故態様から見て、女性には、前方不注視、ハンドル操作のミスなど事故の原因となる過失があったはずです。

一方、痴漢の場合

「右手で痴漢行為をすることは不可能と言うに近い」と認めながら、左手が吊り革を持っていると車載カメラで確認できるのは一部の時間帯だけだとして、「それ以外の時間帯の左手の状況は不明である」と指摘し、「左手犯行説」を打ち出したのだ。揺れるバスの車内で吊り革につかまらず、右手で携帯電話を操作しながら左手で執拗に尻を触ることは「容易ではないけれども、それが不可能とか著しく困難とまでは言えない」

http://www.magazine9.jp/article/hourouki/13827/