"「頭のでき」"書評

http://d.hatena.ne.jp/shorebird/20101111

もっとも一歩引いて著者のスタンスを考えると,世の中には「すべて遺伝で決まる」という誤解のほかに「すべて環境で決まる」という誤解もあり,どちらも間違いなのだが,ニスベットは特に前者の誤解のみを標的にして本書を執筆している.そういう意味では本書はかなりリベラル寄りの環境要因を強調した書物だということになる.

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ニスベットの主な主張は以下の通りだ.

* 学校は明らかに人を賢くする.
* 学校を含む教育システムをどうすればより効率的にできるかについては(無差別実験が困難なため)なおよくわかっていない.しかしいくつかのヒントはある.特に貧困層の未就学児童に対する指導はよい影響を与えるようだ.
* フリン効果(IQが時代とともに上昇する傾向があること)は環境によりヒトのIQが大きく影響を受ける強い証拠だ.なぜ時代とともにIQが上昇するのかは明らかではないが,テレビやゲームを含む大衆文化とIQテスト項目の親和性が1つの説明になる.
* 貧富の差は明らかにIQに影響を与える.アメリカは先進国の中で経済格差が大きいのでこれは重要だ.
* 人種間のIQ差はほとんどすべて環境要因で説明できる.アフリカ系の人々の間で,ヨーロッパ系の血統の濃さとIQの間に,(人種差があるとするなら見られるはずの)相関が見られないことはその良い証拠だ.

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日常語としての「頭の良さ」「地頭の良さ」

あるテストの結果としての"IQ"

仮説的な「g因子」「真の頭の良さ」
との差について。