問題は、私がこういった娯楽一元論的な態度でライトノベルを読もうとしてしまっていたところにあるようだ。この態度からすると、ラノベにおいて扱われている倫理的価値は、どうにも大人しすぎるもののように思えてしまう。ラノベの展開は、現代日本の少年少女が普通に学生生活を送っていくなかで機能しているような倫理的価値の枠をあまり踏み出すことがない。たとえば、殺人を筆頭にした暴力的行為にたいする寛容度が低いことや、あるべき人間関係の理想が現代日本の学校制度の形式からそれほどはみ出さないことなどが挙げられようか。こういった点を、私は「もっと過激にすれば面白いのに」と不満に思い、また、「どうしてもっと過激にしないのだろう」と不思議に思っていたわけだ。
http://www.ne.jp/asahi/otaphysica/on/column130.htm
エロゲだと、「純愛系」では大人しめな倫理観が見られ、「陵辱系」では、そうでもない世界観だったりする。時折、エロゲは、すべからく純愛系であるかのような発言があると、誰かしらツッコミを入れることになる。べし。「純愛系」が好きな人は「純愛系」をプレイし、「陵辱系」が好きな人は「陵辱系」をプレイしている。もちろん、「純愛系でも、もっと過激にしたほうが面白いのではないか」とか「陵辱系は、どうしてもっとシナリオを重視しないのだろう」とか考える人は、そういうタイトルを求めることになる。本屋では、ラノベ棚の他に、新書棚や文庫棚があるので、バイオレンスとか、なんとかとか、そういうのが好きな人は新書棚を探すし、子ども向けの本をさがす人は絵本コーナーを探すし、そういうもんじゃないかな。