老化について

http://scribble.cocolog-nifty.com/orbium/2004/06/post_71.html


老化は、個体老化と細胞老化があり、関連はあるが同一のものではない。
血管内への脂質沈着のように、細胞レベルでは問題にならない現象もあるし。


で、細胞老化だが、

仮説-1)プログラム説 (program theory of aging)
種の最長寿命は決まっている、また種にはそれぞれ固有の一般化できる老化形質が発現するという事実から派生した概念である。
私見としては、生殖年齢を過ぎて後に、それまでは極めて効果的に作用していた個体の恒常性(ホメオスタシス)維持機構(種固有のゲノム維持機構とほぼ同義)が崩壊するに伴い、老化形質が顕在化すると考えたい。即ち種毎に、内在的に、老化を促進する因子と抑制するあるいはゲノム崩壊を修復する因子が存在すると予想される(一部は既に発見されている)。しかし、一定時間にセットされた積極的自殺装置的機構が種の寿命を決定するというような、狭義のプログラム説は成立しないと考える。

仮説-2)エラー蓄積説・エラー破綻説 (error catastroph theory of aging)
最近明らかにされつつある事実はゲノムの修飾・改変が起こり遺伝子発現が変異したり、蛋白質の翻訳後の修飾により機能変化が起こる等の変異(エラー)が蓄積することにより、個体の生命維持の破綻に至るとの考えを支持している。

仮説-3)ゲノム総体として、生殖活動期間までの遺伝子修復を保証する機構は基本的にはすべての有性生殖する生物に備わるものと考える。種に特異的な(換言するとゲノムに規定された)その保証期間以降のエラー修復不全期間(老化期間)、不全状態の認識の仕方、さらには一定以上の異常は許容しない機構(一種の自殺機構ともいえる)が備わっている。

http://scribble.cocolog-nifty.com/orbium/2004/06/post_71.html

 こんな感じ。
 仮説1の、プログラム説、仮説2のエラー蓄積質は、メカニズムの説明だが、仮説3は、目的を説明したもので、機構の説明としては不十分に思える。
 仮説1は、テロメア説が有名。分裂を繰り返すとテロメアが短縮し、複製が不可能になる。ただ、テロメア延長酵素の強制発現が、細胞寿命の延長、細胞増殖速度の回復を必ずしももたらさなかったような気がする。
 仮説2は、細胞融合の実験が有名。若い細胞の核を、「老化した」細胞に融合させると、分裂速度が減少、つまり「老化する」というもの。老化した細胞の細胞質には、「老化促進物質(増殖阻害因子)?」が存在し、若い核の機能を阻害、つまり老化状態にもっていくもの。


 


2006年の解説。
http://www.jstage.jst.go.jp/article/yakushi/126/11/1087/_pdf/-char/ja/

ここでは、テロメア短縮を細胞老化の主因としていて、
「ヒトではテロメアが短めで、それがガンを防止している」
と解説になっていた。



というわけで、古い会社が、単に創業年数だけで「古く」なるわけではないようなものか。
単に、古い会社に新しいCEOを送りこむだけではなかなかうまくいかなかったり。
従業員は老い、設備は劣化し、技術は陳腐化する。
だけど、勢いのある会社は、従業員を新規に雇用し、設備を入れ替え、新技術を開発し、なんとかしている。


IBMも、ポルシェもフェラーリも、暖簾は古いが果敢に新技術にチャレンジし、過去と訣別してたり。
PC製造部門を捨て、空冷エンジンを捨て。


…横領など、不正行為は癌化なのかしら。