水道なおはなし

 あるところに、水道が引かれました。
 水道ってわかりますか?
 昔は、いちいち井戸から汲んだり、川から汲んだりと、大変な仕事でした。しかも、衛生的ではなかったりします。
 泉から、取水し、浄水場で濾過し、それを配管して各家庭に分配することになりました。
 水道が出来たので、みんな、それなりに満足しました。


 ところが、最近、水の出が悪くなってきました。
 本来、みんなが水を飲み、体を洗うくらいの水はありました。でも、車を洗ったり、プールに水を貯めたりと、水の使用量は増える一方です。
 しかも、最近、地球温暖化で暑くなったせいか、水源は枯渇気味。逆に、熱くなったので、水浴びで水を使う人も増え、悪循環です。それどころか、消火栓を開けて使い出す人も出ました。だって蛇口から出ないんだもの。
 節水を呼びかけても、お前ら神になったつもりか。どんな資格を持って、水浴びの権利を留保するのか。散々に非難されます。水道工事屋は水道工事屋で、水利権を持っていないのですが。水利権を変更し、農業用や工業用の水を減らせば問題はちょっと解決するのですが、みんな、怖いのでエライ人には文句を言わず、水道工事屋に当り散らします。


 さて、そんなこんなで、行政は重い腰を動かしました。取水口を広げてくれるのかな。それとも、節水を呼びかけるのかな。すると、行政からは「コーディネーター」が派遣されました。彼らは、早速、浄水場の隣に豪華な庁舎を立て、新鮮な水でプールを満たし始めました。


 


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