"「事実とは何か」/本多勝一/84年、朝日文庫"

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本多勝一のジャーナリズム論三部作のなかでも秀逸。立場のない立場はなく、公正中立な報道などありえないのだ、ということに説得力を感じる。本多氏の立場は、主に弱者の立場から事実に迫る民族主義者だ。


 ルポ論も面白い。都合の悪いことは無視して、都合のいいことばかり集めると、そのルポはウソになり、説得力を失う。『部分的事実は正確な事実の敵だ』。


 悪いのは戦争ではなく侵略だ、記者たちにタブーを成立させている最も重要なカラクリは経済的抑圧の背景にある、良いことと悪いことをたして2で割り、ゼロにする作業を新聞や放送が続けているかぎり、反動側は喜んでいるだろう…。どれも、もっともなことである。本書は、報道に関わる者の必読書といえよう。

 えーと、このへんのリンクを辿ると、「科学的な事実より、政治的な「真実」が優先される」と読める文章に行き当たる。著者がそう思っているのか、ただのレトリックなのかは良くわからない。客観的事実の取り上げ方で政治性が生まれる、と解釈している。