人身御供論@大塚英志

 「物語、とはその場合、共同体的世界観をいうが、今日それは限りなく微分化し、皮肉にもそのような物語と一体化することは、「成熟」ではなく「自閉」だとさえ見なされる。あるいは物語が限りなく微分化したことに耐えがたい人々は他を圧倒的に凌駕する唯一の物語を求めようとする。しかし、いずれにせよそれは「世界」(それが大きなものであろうが小さなものであろうが)という物語のなかでの自己実現であり、それを希求する限り、逆に世界をめぐる物語を人は「現実」と錯覚し、そこに帰属しない他者を抑圧する」

 「移行対象」という幻想への依存と「幻滅」(移行対象殺害)が、この時代に成立しうるビルドゥングス・ロマンだと。

昔の過去ログより。
微分化した物語同士の接続、がもう一つのモデル。