オブジェになる運命は最初から決まっていた
私は時々 SFA や CRM などの最先端のマーケティングソリューションをジェット戦闘機に例えて話すことがある。F-14 トム猫というアメリカ製の戦闘機は長い間世界最強の戦闘機のひとつだと言われてきた。アメリカ海軍がこれを主力艦載機として導入しており、その価格は1 機約40億円である。性能比較してみるとこれがいかに優れた兵器かがわかる。スピードや運動性能はもちろん、スマートな戦闘機のくせに強力な火器完成能力をもち、フェニックスミサイルは射程140kmを誇る。使い方によっては1機で敵一個飛行隊にも匹敵する力を持っている。
しかし、当然のことだがどこの国でも持てるわけではない。
もしある産油国の国王がこの戦闘機の性能に魅了されて数千億円を投資して購入したとしよう。戦闘機は納期どおりに納品されるだろうし、メーカーからは多くのエンジニアがやってきてチューニングや試運転、動作確認をするだろう。全てのチェックが完了すると彼らは検収印が押された納品控えを手に帰っていく。後に請求書を残して…。
しかし、その国にはこの戦闘機を整備できるエンジニアがいない。この高速ジェット戦闘機を管制できるレーダーシステムも持っていないし、航空戦を指揮できる参謀もいなければ、そもそもこれを飛ばせるパイロットがいない…。
かくして世界最強のF-14 トム猫は大統領官邸の庭に飾られることになる。数千億円のオブジェとして。
この比喩は大げさだろうか?セールスフォースオートメーション(SFA)、CRM、データマイニング、マーケットプレイス…。
BtoB(法人営業)の世界では本当に多くの企業がこうしたマーケティングソリューションに多額の投資をし、数か月か数年間苦しみ続けた末に、その活用を断念している。
どうみてもオブジェです。本当にありがとうございました。