私たちの田村くん、の感想の感想

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今度は女の子(たち)が走る番。これで平仄が合う。

 願わくば、ペースの合わぬガキ共に、少しでも多く衝突の機会が与えられんことを。

 わざと遠回りをしているのじゃないかと思ったくらいな二巻だった。が、この感想を読んでいるうちに魅力的に思えてきた。素晴らしい作品を読んでいたのではないかと考えてくるくらいに。

そして『わたしたちの田村くん』、ないし田村くんにあっては、「走る」とはつまり、先行する女の子たちの事情だか内面だかに追い付くための魔術的儀式である。そしてまた、走る(駆けつける)、というのが単なる比喩を越えて文字通り松澤や相馬のもとに走って行ってしまう、という直截さ・みもふたもなさ・あけすけさが、この作品の魅力のひとつだ。田村くんは自転車に乗りさえしない。結果、ありえないくらいの適確さで駆けつけることになるし、ちゃんと何かに間に合う。そしてそれは理解に支えられていない。

SSなんかでも、走り系という作品は多く、対立や矛盾を超越するために、走ったり飛んだりするのだ。あけるりでも結構走ったか。少年は、歩いて,車で,スプートニクで、じゃなくて、走って、ロケットを打ち上げて、グリペンに乗って、大人になっていくのね。