国に赤字がふえているけれど、それは大したことではないよ

http://satoshi.blogs.com/life/2005/08/post_19.html

 今の日本が抱える一番の問題は、財政赤字である。支出が税収を大きく上回る状況を何年も続けて来たため、国債という形の大量の借金を抱える悲惨な状況になっているのだ。誰が考えても、この「支出が税収を上回る状況」は早急に解消すべきなのだが、それがとても難しいのである。

私も含め、世の中の99.9%の人間は、お金を使えば使うほど自分が得をする環境に置かれれば、お金を使うに決まっている。人間とは元来そういうものだ。そんな状態に彼らを置いてしまっている構造そのものに根本的な欠陥があるのである。つまり、これはモラルの問題ではなく、インセンティブ(動機付け)の問題なのである。

同、コメント欄より、匿名氏。

国内の民間部門の貯蓄ですから、赤字自体は、
実は、それほどの問題ではありません。
おそらく、より、根源的な問題は、
我が国において、人的資源の配分が失敗していること、
つまり、適材適所の配置がなされずに、
国民のエネルギーが経済活性化に生かされていないこと
であると、私は思います。

 どちらも、言っていることはほぼ同じなのだ。
 ケインズの理論(の誤読)でいうなら、投資には良い投資も悪い投資もない。景気が悪ければ、ピラミッドでも建てて、戦争をやれ。21世紀になって、こんなことを字義通り信じている人は少ないとはおもうけど。投資には良い投資と悪い投資があって、ピラミッドを建てても投資は回収できない、と考えられているのが昨今だ(もし、ピラミッドを建てて経済が好転するなら、今頃世界はピラミッドだらけの筈。逆に、儲かるなら、どんどん国債を発行しても、誰かが買い支えてくれるだろう)。
 で、少なくとも、官に適材適所の投資が出来ない、と主張するのが小泉一派ではないかと。役人叩きの言説は多く、他人を叩くのは楽しいのでよくやるけれど、制定され、施行された法律を実行するという原則の公務員に、先を見通し、リスクを背負った投資は難しいのだ。そう。構造の問題。
 と、赤字の問題も、資源配分の問題も、レイヤーの違いで排他的なものではなく、仲良くやればいいのに、という話。