雑記

戦争論(仮)

 侵攻にはなんらかの利益を求めて行うことが多く、利益に比して大きな損害が予想される場合には侵攻を思いとどまると推測される。また、相手国の軍備が乏しいとの判断が侵攻を決意させた事例もある(朝鮮戦争)。その結果、軍備は絶対金額でなくてGDP比での相対金額となり、冷戦期ではGDP比2%前後で均衡していたようだ。攻者3倍満の法則を信じるなら、攻撃側は攻撃相手国の備えた軍備の3倍の動員が必要になり、それは戦争の利益を上回るため攻撃を思いとどまる、と。

 このような外交ベースの算数ではなく、戦術レベルになるとまた話は変わってくる。攻撃側は侵攻地点を自由に選べるため、戦力が仮に同数であったとしても時間的・空間的に戦力を集中できる。予防的開戦を是とするのでなければ相手方に橋頭保を確保される可能性は高い。戦略的縦深が浅く、しかも制海権を奪われ援軍の可能性が皆無な太平洋戦争中の離島防衛なら水際防衛、上陸されたら玉砕、もやむを得ないかもしれないが日本列島というレベルでは橋頭保からの侵攻を抑え、また奪還を企図することで敵方の行動を抑止でき、援軍の到着まで時間を得られるのではないか。

 攻者3倍満の法則、じゃあ相手が自軍の4倍の兵力を準備したら白旗上げるのか、っていうと、うーん。といったところ。「ぼくたち、GDP2%でこんだけ兵力を集めた。この3倍を超えて兵力集めたら、白旗あげちゃう」って宣言したら敵性国家は嬉々として大戦力を集結し3.1倍の兵力を一時的にでも積み上げるだろうな。表向きは徹底抗戦、内実は降伏の用意というのが妥当かな…