EEAと現代社会

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進化心理学」という学問の分野があり、誰もが認める化学物理学電磁気学生物学… と異なり、分野自体が懐疑されている分野である。
科学技術社会論(STS)、精神分析学、の仲間だと思われてるのだろうか。


さて、「進化心理学」では進化的適応環境(EEA)が重視される。主として更新世石器時代の以下のような環境だ。

1狩猟生活や死んだ肉をあさる生活
2遊動的な生活パターン
3低い人口密度
4(100人程度の)親族を中心とした小規模な集団生活
5時代を通して技術力に大きな変化なし
6後世の社会に比べて生活の選択肢がすくない。
などの特徴があった。(Badcok2000 、感情心理学入門p75)

https://ameblo.jp/umigame2haruchika/entry-12178358052.html

この環境に適合するように人間の心理メカニズム、PCでいうとハードウェアやBIOS*1、OSに相当するかな、それは進化したというのが進化心理学の「仮説」となる。行動様式は化石に残らないので傍証でしか証拠は残らないのだな。


現代社会はEEAと乖離しており、後天的に教育等で獲得した心性ではその齟齬を埋めきれず心理学的緊張が起こるというのが進化心理学的によく行われる説明である。当然、「自分の説明したい学説にあわせてEEAを創作しているだけではないか」という批判も多い。創作EEAを検証する「行動化石」は存在しえないし。




と、永い前置きだが、本来的に人類は「親族と低い人口密度で集団生活を送っていた」ため、先天的、もしくは後天的なバリエーションとして「不機嫌になってしまう」人も、集団に緩衝されたり低い人口密度のため距離を確保したりで致命的な問題には至らなかったのではないか。大家族制度から外れ核家族化し*2、大都市近郊への移転が進み、かつ、個人のストレス受忍解消が社会責務となってる。EEAでは異常とはいえない形質を、現代社会不適合の観点から「治療」すべきか?っていうのは筆者の時折見掛けるテーマかもしれない。



こちらの見解としては、いつもの


「都会は!人間のエゴ全部を飲み込めやしない!」
「人間の知恵はそんなもんだって、乗り越えられる!」
「ならば、今すぐ愚民共すべてに庭付き4LDKをさずけてみせろ!」

*1:←今はUEFIだっけ?

*2:これは、令和どころか平成どころか高度成長時代から発生した動きだが