グラフのマジック(※波線不使用)

仮に、ある国の生活保護の不正受給件数がこのような推移を辿ったとしよう。

波線もないし、10年以上のデータであるので「わずかなドリフトを針小棒大に解釈」するものでもない。
すると、「不正受給件数が激増!許すまじ!!」みたいな反応を招く可能性がある。




不正受給総額を想定したグラフをみてみよう。H24をピークに低下している。件数とは違った動きになっている。



一件当たりの金額を見ると、右肩下がりになっている。
これから、「悪人が増えたため件数が増えた」というより、取り締まりを厳しくし以前は摘発していなかったものを摘発するようになったことが「不正受給件数」増大の要因になったことが考えられ、風紀紊乱だけとは考えにくいということになる。



保護世帯あたりの件数は倍増はしているが、生活保護不正受給件数の実数ほどの増加はしていない。
(※ 保護世帯受給件数はここ*1から引っ張ってきたが妥当性は謎)



結論として、こういうグラフから導かれる「不正受給者が激増してる。そのため取り締まりを強化し、支給要件を厳格化する必要がある」という命題は真とは言い難い、ってことになる。
インチキしなくても、全体と部分を表現しないデータは実際と異なる印象を与える。
「波線省略棒グラフだって、こことここの数字は合ってる!」と強弁する人は、最初のグラフ『だけ』示されても、「波線も、目盛りの以上もないね!」と受け入れてくれるんだろうな。