緑色の障害物

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コインパーキングの違法駐車画像をアップ →「緑色の板を踏まないとダメなんですか?障害物があったら踏んではダメだと思うでしょう」

質問:先日コインパーキングに駐車し、料金を払わずに出てきてしまいました。防犯カメラに映っていたようで、違約金として10万円請求されてしまいました。無断駐車したのは自分が悪いと思いますが、駐車していたのは30分ほどです。10万円払わなければならないのでしょうか?相手は、看板に、「不法駐車は違約金10万円」と書いていたから10万円払うのは当然、と言っています。何らかの刑罰法規に違反するかどうかも教えて下さい。

回答:
1.違約金10万円を支払う義務はありません。違約金を支払うという契約は成立していませんし、また不法行為による損害の賠償としての責任は実際に生じた損害に限定されますから駐車した時間の駐車代金相当の損害金支払い義務しか発生しません。
2.後記岐阜地方裁判所平成21年10月21日民事第2部判決参照。この判決は、コイン駐車場の設置、看板表示を「契約の申し込み」と認めず、「申し込みの誘引」と解釈し、その結果違法駐車の行為自体は契約の承諾(黙示の意思表示)とはならないと判断しています。この理論的背景は法外な違約金の請求を認めないということにあるようです。すなわち、法外な違約金を定めた契約の申し込みは、法の保護が与えられないということです。適正な違約金の表示であれば、契約の申し込みとして契約成立を認めたものと思われます。従って、理論上駐車場の設置を契約の申し込みと判断し、契約の成立を認めたとしても、根拠のない法外な違約金(例えば、実損害の数倍を超えるもの)は権利濫用、信義則の基本法理(民法1条)から否定される(効力がなく無効である)可能性が大きいでしょう。

http://www.shinginza.com/cgi-bin/topics/script2.cgi?find=(1054)&search=1

7.(判例理論の背景)
   この判決は、フラップ板を踏みつけるという不当な方法で駐車をした者がお金を支払わなくて良いという結論で、何か不公平、不正義のような感じもします。しかし、本判決は、10万円という請求に対して下されたものであるということに注意が必要です。本件のような事例において、簡単に10万円という金銭の支払いを許容すれば、看板に書いてさえいれば、どんなに高額な違約金でも請求できるということになりかねません。発生した損害は、駐車料金を基本とするべきであり、それ以外の損害については請求者側で立証を要するという民法の原理原則にも叶うものがあります。本件の後日談などは不明ですが、当然、正規の駐車料金を請求されれば、駐車した者はこれを拒むことはできないと思われます。

9.なお、本件のような駐車場の不正利用について、駐車場運営会社から「賠償に応じなければ刑事告訴する」という主張がなされることもありますので、この点についても説明したいと思います。刑事告訴される可能性のある罪名は、「器物損壊罪」「業務妨害罪」「軽犯罪法1条31号」です。無人の機械式駐車場ですので、人に対する詐欺罪などは成立しません。


http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=38293