現代統計学の父、ロナルド・A・フィッシャーはひょんなことで、科学哲学を揺り動かし、科学で扱える対象の領域を爆発的に拡大させた「ランダム化比較実験計画法」を思いつきます。
1920年代のイギリスで男女が屋外のテーブルで紅茶を楽しんでいたとき、ある婦人が「紅茶を先に入れたミルクティ」か「ミルクを先に入れたミルクティ」か味が全然違うからすぐにわかると言いました。
その場にいた紳士たちは、婦人の主張を笑い飛ばしました。そのときフィッシャーは「その命題をテストしてみようじゃないか」と提案し、さっそくティカップをずらりと並べ、婦人に見えない場所で2種類の違った入れ方ミルクティを用意し、ランダムな順番で婦人にミルクティを飲ませ、婦人の答えを書き留めた後でちょっとした確率の計算をするという実験を行ないました。これが世界で最初に行なわれたランダム化比較実験だそうです。
ちなみに婦人は出されたミルクティをすべて正確に言い当てたそうです。彼女がランダムな5杯のミルクティを飲んでいたとすれば、偶然すべて当てる確率は2の5乗分の1=32分の1(3.1%)、10杯なら1024分の1(0.1%)。
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「水の入った瓶に『ありがとう』と書くと美味しい水になる」
という主張に対し、フィッシャーが役立つことは、故事を持ちだして
「一見、根拠が無さそうでも正しいことがある」
と強弁することではなく、
ランダムに並べた水が瓶に「ありがとう」と書かれた水かそうでないかを当てることだと思う。