人間の測りまちがい(下)

読んだ時に貼った付箋のところを転載

ブリガムは自分の個人的負債は返済できたがテストがもたらした結果を覆すことはできなかった。移民の割当人数はそのままであり、南ヨーロッパや東ヨーロッパからの移民は減っていった。一九三○年代を通じてユダヤ難民はホロコーストを予想し、アメリカに亡命し、移住しようとしたが認められなかった。法に基づく割当人数や、ひきつづいた優生学に基づく宣伝によって、北部、西部ヨーロッパ諸国に対して拡大された割当人数が満たない年ですら、ユダヤ人は締め出された。チェイス(一九七七年)は、一九二四年から第二次世界大戦勃発までの間、六百万人の南部、中部および東部ヨーロッパ人が割当人数によって締め出されたと計算している(移民が一九二四年以前の比率で続いたと仮定して)。我々は外国へ移りたいと望みながら行き場のなかった多くの人々に何が起こったかを知っている。破壊への道はしばしば間接的であるが、思想は銃や爆弾と同じように確実な手段となり得るのである。

P83
ブリガムが知能テストを用いて移民の「地頭」を測ろうとして、単にアメリカの風習・英語への習熟を測ったに過ぎず、ブリガムはその件を撤回・謝罪したが「移民は地頭が悪い」という思想が独り歩きした。

「どのように受け入れられていようとも、名称は一つの実体すなわち存在物であり、それ自身独立した実体をもっているに違いないと確信してしまう傾向は常に強かった。そして、もし名称に該当する真の実体が発見できない時には、人は、それを根拠として何も存在しないと考えるのではなく、特に深遠で神秘的な何かが存在すると想像するものである」ジョン・スチュアート・ミル

P228
ミル氏は、2013年7月後半を予見していたのかしら。