"砲兵の仕事"

19世紀前半まで、野戦の戦死傷者の約半分は砲兵の射撃によって発生していたと言われていますから、まさに砲兵は陸戦の王者です。ところが時代を追って細かく見てゆくと、1860年代以降で様子が変わってきます。アメリ南北戦争普墺戦争普仏戦争での戦死傷者のうち、砲撃によるものは全体の10%程度でしかありません。第一次世界大戦に先駆けて火力戦が戦われたにもかかわらず、頑迷な日本軍はそれを認めず白兵主義、精神主義を選択したといわれる日露戦争でも火砲による戦死傷者は全体の15%です。

http://stanza-citta.com/bun/2010/04/11/561

 まさか、戦死傷者の多くが脚気で…

 このように野戦での砲兵の地位は19世紀後半から極端に低下していることがわかります。近代の砲兵は戦場を制する存在ではなかったということです。そうであるなら、野戦砲兵の代わりの火力とは何だったのでしょうか。それは新しく登場した大量のライフル銃です。産業革命以降、品質が上がり大量生産されたライフリングつき銃身の歩兵銃は野砲の射撃に対抗し、一斉射撃を重ねることで野砲を圧倒できたのです。十分に築城された要塞の攻防戦でもない限り、歩兵は大砲より強かったということです。

 現在、その16まで。