サクシンとサクシゾンの間違え

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20081119-OYT1T00784.htm?from=navr
色々痛ましい。

サクシンを受け取った看護師から「本当にサクシンでいいのですか?」との問い合わせがあったが、医師には「サクシゾン」と聞こえたため、「いいよ」と答えたという。

 というやり取りがあったらしいが、ここで「筋弛緩剤のサクシンでいいのですか?ステロイドサクシゾンではなくて」と、聞き返していたら、事態は変わったかもしれない*1。電話口で、「"エー"ですか?」「そう。"エー"です」「本当に"エー"ですか?」「本当に"エー"です」「エラーが出ますよ?」「そんな筈はありません」→→→→→→妥当な文字は"A"でなくて"E"でした、みたいな笑い話を防ぐためにも、「エコーではなくて、アルファ*2ですか?」と、エラーを前提とし、エラーを防止する会話にすればいいと思うのだけど、エラーが起きるのはモラル不足だから、そんなことするより教育勅語を暗誦し、社会常識の本を読ませたほうがいいかな。ますは漢字の読み方から。踏襲…



http://www.yakuzai.med.saga-u.ac.jp/kusuri-no-mametisiki/20031022-matigaeyasui-kusurinonamae.html


http://www1394.hp.infoseek.co.jp/igaku/namaeruijiyaku.html

この「感染」という映画でもそんなシーンが描かれています。

主人公役の佐藤浩市塩化カルシウムを塩化カリウムと言い間違え、新人看護師が指示通り投与してしまったため患者を死なせてしまうのです。

佐藤浩市「!?お前何を入れた?一体何を入れたんだ!」

新人看護師「塩化カリウムです」

佐藤浩市「何ぃぃ!!俺は塩化カルシウムと言ったんだ」

新人看護師「でも先生が塩化カリウムとおっしゃったから・・・・」

http://blog.livedoor.jp/dammate/archives/50935483.html

挿管中の患者さん、状態回復にて咽頭浮腫があるため手術室での処置となる。喘息もあり再挿管、そして浮腫もあるので気管切開の可能性もありと医師より情報あり。咳嗽、喘鳴あるも抜管した。直後に「サクシンサクシン」と指示あり。「えっ、サクシンですか?」と聞きなおし「サクシゾン」と返答あり。何mg か、確認して点滴開始した。

http://www.tmsia.org/warning/kei_jirei76.html

 高濃度カリウム、筋弛緩剤、抗がん剤など、不用意に投与すると死ぬ薬剤には、一本一本シール(封)を付けて、「この薬は、熟練者用。経歴の浅い人間は調剤投与を禁ずる」と書いておいて、少なくとも、経験のある人間の監督下に施行することを義務付ければいいのに、と、昔は思ったけど、

  • シール貼りが面倒
  • 経験の浅い看護師しか作業ができない場合にパニックになる
  • 「先生、かくかくしかじか、シールに書いてあります」「そんなことはいいから、やれ」 …
  • 「どんな薬だって、副作用が起こる。水だって、凍らせて殴れば人は死ぬ。だから、全ての薬は慎重に扱う必要がある。従って、特定の薬だけ注意を喚起するのはおかしい」「要は、やる気がないんでしょ?」

 A病院で患者にサクシゾン(抗炎症剤)を投与すべきところサクシン(筋弛緩剤)を誤投与し、患者が死亡する事故が起きました。この病院ではコンピュータによるオーダリングシステムで薬剤の処方が行なわれており、医師はサクシゾンを投与するつもりで、「サク」の2文字をキーボードで入力しました。画面には、「サク」で始まるサクシンサクシゾンが表示され、医師はサクシゾンをクリックして選択したつもりで、実際はサクシンを選択してしまったのです。
 サクシンの処方箋が発行され、薬剤師は疑問に感じながらもそのまま調剤し、病棟にサクシンが届けられました。病棟の新人看護師は、処方箋と薬剤が合っているかどうかを確認しました。しかし、サクシンについての知識が不足していたため、医師が誤った薬を処方したことに気づくことができず、そのまま患者に投与してしまい、患者が死亡しました。

http://www.e-kango.net/11_2.html

医師の処方、医療秘書の複写(アメリカでは医師の指示を秘書がタイピングすることがある)、薬剤師の調剤、看護師の与薬の各段階で、約4:1:1:4の割合だったということです。秘書や薬剤師と比較して、医師や看護師にエラー発生が多いのは、複数の仕事を同時に行ったり(多重課題)、仕事の中断や割り込みが多いという現場の状況によると考えられます。

http://www.e-kango.net/11_2.html

さて、このエラーを防ぐにはどうすればいいだろうか。
A1 : エラーなんてモラルが無い。モラルを取り戻すために僻地へ(2Fの大臣)
A2 : エラーなんて社会常識不足だ。これだからウチの病院の医師応募が低迷(ていまい)するんだ。未曽有を(みぞうゆう)の国難だ(略)
A3 : 開業医優遇が悪い。開業制限や健康保険の適用制限をするべきだ(略)
A4 : 多重課題を減らし、仕事の中断や割り込みを減らす体制を… 

追記

 どうでもいいけど、型番の微細な違いが大きな差異であることもあるので、パーツ屋だと、こちらがムニャムニャ言って取り出してもらったパーツも、「WDのなんとか、5400RPM, SATA 接続」と、最小限必要なスペックを話す。
 

2009/8/29追記。

この事件の続きかな。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090820-OYT1T00294.htm#

 県警の発表などによると、女性医師は昨年11月17日、肺気腫の疑いがあり、40度近い熱があった男性患者に解熱作用もある抗炎症剤「サクシゾン」を使うつもりだったが、筋弛緩剤「サクシン」200ミリ・グラムを薬剤師や看護師に指示して、投与。翌18日未明、薬物中毒により窒息死させた疑い。

 一方、事故を受け、サクシンを製造販売している製薬会社は今年7月から商品名を「スキサメトニウム」と改めている。

20131022

「タキソール」という名前の薬を投与するはずが、効き目が3倍以上強い「タキソテール」という薬を誤って投与されてしまったのだ。最近は電子カルテが普及し、頭文字を入れれば、パソコン画面上では、薬剤名が予測変換される機能がある。入力した医師は「タキソ」まで入力した結果、「タキソテール」「抗がん」と表示されたために、うっかり投与してしまったのだ。抗がん剤に詳しい腫瘍内科医ならば、あり得ない初歩的なミスだった。

http://diamond.jp/articles/-/43242?page=2