荒野とダム

ある荒野に村がありました。川はムラから離れた谷底を流れ、井戸水と、そして川から汲んだ水で人々は生活していました。
そこへ、工学がやってきたのです。
村人や、村長はお金をだし、彼らはダムを造り、水を貯め、その水を水路に流しました。
荒野は農地になり、水田になり、そして水力は電気になりました。
ダムの管理人の生活は豊かになり、村人の生活もちょっとだけ豊かになりました。
ダムに水を貯めれば貯めるほど、水は売れ、発電量は増え、ダム管理人のボーナスは上がるのです。
そこで、管理人はどんどんダムの高さを嵩上げしました*1
心配する声もありましたが、管理人は言うことを聞きません。
「あっちのダムに負けたらボーナスが貰えないじゃないか」


しかし、何事にも限界があります。ある新造住宅地の地崩れが切っ掛けにダムは壊れました*2
采配していた管理人たちも流されていきます。
「あっぷ。あっぷ。助けてくれ〜」
みんないい気味だと思いました。


1)
 でも、人々は、管理人を助けました。
「これからは、工学なんかに頼らず、昔に戻ろう!」
ダムからの水は無くなり、農地は干上がり、失業者が沢山でました。
昔ながらの、井戸水や汲み水の限界でした。
人々は、失業し家を失った人を図書館に引き取り、いつまでもいつまでも幸せに暮らしました。

*1:梃子を大いに利用したそうです

*2:ダムの基礎が耐え切れなかったそうです