大切なのは、法自体ではなくて、社会的要請

しかしそこはよくしたもので,法律以外の非公式システムがそれを補っているのである。その一例として筆者は「談合」を挙げる。「業者間の話し合いにより,技術力や信用の面で問題がない業者が選定され,その業者が落札するよう談合が行われ,発注官庁も,それを前提にして入札前から業者の協力を得て調達業務を行う」(p.17)ことで,公共調達が円滑に進む,という具合である。談合は法的には違法だが(それを定めているのは明治時代に作られた会計法らしい),法律自体が現在の実態にあっていないので,談合があってはじめて円滑で安定的で低コストの発注が可能になっているのである。

http://www.cc.u-ryukyu.ac.jp/~michita/reading/index.html#gohara07

 だけど、コストを上昇させる、「悪い談合」というのもある筈で、その境界線をどこで分けるか。

大事なのは,法令を通してその社会的要請に応えることであり,法令を守ることそのものが目的ではないのである。法令遵守を強調することは,法令の背後を見ることなしに近視眼的に法令そのもののみに目を向けさせることであり,危険なことである。

 社会的要請は、社会情勢の変化と共に変化し、しかし、法令の変更は困難で、「法を曲げて情勢に合わせる」か「情勢に合わなくても法を守る」か、いつも議論になるところ。