経済学の話が流行っている。

 昔、生きるためには食べ物が必要で、耕地面積が国の源だと思っていた。もちろん冗談だけど。
 その後、鉄道、発電、ビルディング、戦車、と、工業こそが国力だと思っていた。
 第三次産業による立国なんて、みんながお互いにホットドッグを売りあって生きているようなものだと思っていた。



 米も、鉄材も、工作機械も、パーツのレベルまで汎用となった今日では、それを手配するシステムを持った企業が一番エライ。で、企業運営すら汎用化した今は、利回りの見込める企業には、どこかのニートがマウスをクリックし、するとそれが合成されて企業にお金が流入し、企業が回る。一方、利回りが悪そうであれば、みなの嫌いな投資家がマウスをクリックし、金が引き上げられて、企業が消滅する。
 宅配便での配送をクリックするとき、ショップの倉庫から戸口までの経路を想像するだろうか。普通しない。ファッションデザイナーが自分で服を縫わないように*1、建築家がトンカチを持たないように*2、投資家は企業を経営しない*3。だけど、彼らの行動の総和が、企業主として働いている。


 今、窓の外で唸りを上げている建設機械も、どこかのニート投資家のお金が原動力かもしれない、と思うと少し可笑しい。

*1:縫う人もいるかも

*2:持つ人もいるかも

*3:する人もいるかも