http://b.hatena.ne.jp/p_shirokuma/20060704#bookmark-2266797
だけど、エヴァで突きつけられた宿題や葛藤を克服したというより、ただ回避しただけなんじゃないかという疑いは持っている。
もし、魔方陣グルグルがドラクエを超えた、と言っていいなら、ハルヒがエヴァを超えた、と言ってもいいのかな、と思う。エヴァは、アニメとしての質が良すぎて（質の定義は避ける）、「他者との対峙、フィクションの消費、萌え（まあ、同じことなんだけど）」という命題が持ち上がり、結局エヴァは答えなかった*1けど、ハルヒも有効な答えを出したわけではなくて、破綻しないよう巧妙な回路に押し込んでいる、そんな気がする。
作品というボイラーに、ディティールとか謎とか燃料をつぎ込み、高圧になったところでタービンを動かす、萌えタービンを庵野監督に期待していたら、TVでは安全弁を開いて圧力を下げ、映画ではボイラーを爆発させてしまった、そんな感じ。ハルヒは、萌え燃料で高めた圧力を巧妙にメタ回路で減圧してボイラーに戻し、ピストンを動かしている、そんな感じ。盛り下げるでも、爆発させるでもなく、巧妙に制御している、というか。
で、どうでもいいけど、ハルヒが現象になったのは、EDがYoutubeに流れてから、だと思うし、エヴァが現象になったのは、放送終了後だったような気もする。見る人はみんな見ていたけど、そこから先へ広がったのは、エヴァを見終わった人がエヴァ語りを始め、そして、みたいな。
フィクションを扱うこと
ここに、個人がいて、目の前に「フィクション」がある、とします。これは、ラノベでも、アニメとか、ゲームといってもいいでしょう。
「フィクション」に触れず現実を生きるのが正しいのか、
「フィクション」を享受するのが正しいのか、
「フィクション」の向こう側にある何かを探すのが正しいのか。
「フィクション」の享受の仕方でも、
「フィクション」の中に現実を求めるのが正しいのか、
「フィクション」の中には現実を求めないのが正しいのか。
「フィクション」をネタとして消費するのが正しいのか、ベタに読むのが正しいのか。
メタ言及を許すなら、
「フィクション」を享受する私、に言及する「フィクション」を消費したり、「フィクション」の中で「「フィクション」を消費するキャラクター」」に言及する「フィクション」を消費するやり方もあるでしょう。
私としては、どれかを正しいもの、とは考えません。よくできた物語は、他者として機能し、ユーザーを照射する、みたいに禅問答で答えておきます。
ちょっと昔の文章
http://72.14.209.104/search?q=cache:BCNkyoIgRNsJ:www2.asia-u.ac.jp/~kuri/sub1/sub2/sub3/nihonnar.htm
現代日本の若者の特徴の中に、ナルチシズムとともに新しい形の権威主義が生まれていることを指摘。
ナルチシズムについては、H.コフートらの新ナルチシズム論が指摘するように積極的な意味がある。病的ナルチシズムが問題なのである。一方、権威主義についても、価値観の多様化した今日において、アドルノ等の理解だけではとらえきれない新しい権威主義が現れてきていると考えられる。
現代日本社会のコミュニケーション空間の変容は、権威の匿名化と病的ナルチシズムをもたらし、そこに秘かな結びつきを生み出す可能性をもっている。
コフートによれば、ナルシズムの成熟には未分化な単なる感情的共感ではなく了解に基づいた共感をえること、基本的な受容感や自己に対する信頼感に支えられながらも、すべてが受容されるのではなく、対立をつうじて自己を否定しつつ自己を構成しなおすことが必要である42) 。これはコミュニケーション行為の能力の獲得とその発達と、歩を同じくするものである。
ぱっと前段の文章を読むと、去年発表されたネットウヨと2chの話にみえるかもしれません。
で、きちんと回答がなされています。
これは
『経済学紀要』第14巻第1号,亜細亜大学経済学会,1989.所収.
というもので、2chどころか（中略）な時代です。
結論は同意なのですが、まあ、なにをやればいいのかわかるけど、予算が無い、そんな印象です。感情資本をもった感情中流が減少し、一部のイケメンDQNな感情資本家と、乏しい感情をやりくりする感情貧民に分かれ、民衆は良好な感情資本の蓄積を妨げられている。『感情無産家』は、TVで垂れ流されるバラエティーの感情を拾い集め、『オタク』（一応ギャグのつもり）は、感情を無制限に供給してくれるフィクションに群がる。 立てわが国の感情無産化階級よ！
