SR、雑感

 トラウマ美少女が、おずおずと手を差し伸べてくるところを、無神経に蹴り飛ばすサドゲー、って感じ。しかも、墜落寸前に彼女の手を掴んでも、痛そうな表情をみてゴメンと手を離す、そんな主人公。
 この物語では、ヒロイン達はアイデンティティーとかレゾンデートルとか、まあそんなものに危機を持っていて、それを解消する手段として音楽を選択している。それは主人公も同じ筈だが、特異な才能、そして設定上のマジックにより、その危機は顕在化しない。無意識か意識下かは分からないが、トラウマ美少女に特権的に手を差し伸べること、特権的な演奏能力を行使すること、そして音楽をなにかの手段ではなく、それ自体を目的とすることで、セカイと接続し(言い換えると純粋さを盾にして)、自我を確立している。
 確かに、特権的地位にいるヒッキーなんて、変な下心がなければ接近しないのが普通かな。で、特権的地位を維持したまま、トラウマ少女を許してやると、モヤモヤ感が残るENDに。真実を知り、相手と対等な関係を再構築すると、ハピーエンド。見守ってくれた、ちっちゃなママ〜の所に帰っていくと、これまた奇跡なエンド。
 物語の構造が一番の驚きだったけど、キャラクターとしては主人公の無神経なまでの純粋さにいたたまれなくなった(別の解釈もできるけど)ファル様最高。