『キーリ VI はじまりの白日の庭 下』 田上 俊介,壁井 ユカコ (メディアワークス)

ASIN:4840227799
読了。
 長編の一つの話。
 「まわりくどい性格の少女とめんどくさい性格の男がくっついたり離れたりする話であり、人生くたびれた男が生きる意味を取り戻す話」
 という通りに、くっついたり離れたり。
 大き目の物語は無いけれど、小さ目の物語のなかの感情の描写がよいかも。

 インデックスの3、は、「不幸」の実態が「敵」に集約され、「敵」を「倒す」ことでヒロインが不幸から回復するマッチョ目な話。半分の月、では「不幸」は、特定の敵に転嫁することはできない「出生」であり、あとはどう折り合いをつけるかというオタク系な話になるだろう。吸血鬼のおしごと、は、「敵」を倒すマッチョ目な話になだれ込むかと思ったが、結局折り合いのつかない非・マッチョ系、マザコンオタな展開に。

追記:このイラストで登場したフォールディングナイフはいい出来。人物のリアルさに応じたリアリティーがあればいいのだ。ヤラレ役の、ナイフを掴んだ手の表情も○。主人公の、あまりやる気の無いナイフの握り方は、本文の通りなんだろうけどちょっと残念。スチームパンクな世界設定の割にはクールなナイフだが、まあそれはそれ。