何回か書いているが、また書く。
第一次世界大戦から二次大戦前まで、多砲塔戦車っていうのが流行った。外見がカッコいいので、ファンタジー的な創作には時折登場する。WW2の初期に、アメリカが開発したM3中戦車もその名残かな。
で、現在、多砲塔戦車を採用している国は無いと思う。無いんじゃないかな。主砲塔上の、小さな機銃砲塔とかRWSは別ってことで。
砲塔を複数搭載すると、その分、装甲は薄くする必要があり、また、一つの砲塔あたりの戦車砲は小さな威力のものになる。同じくらいの技術とかカネで、一つの砲塔に、より大きな戦車砲を積み、装甲を厚くした戦車と対決すると、向こうはこちらの装甲を打ち破り、逆にこちらの砲弾は向こうの装甲に弾き返される。そんなとき、「俺の戦車は、横からくる歩兵だって倒せるんだ!」って叫んだって仕方がない。そんなわけで、戦車は単砲塔で、正面装甲を厚くし、側面からの攻撃は他の戦車や戦闘車、歩兵でカバーするっていう考えになっている。乱戦では、歩兵の肉薄攻撃に撃破されることもあるが、それでも、多砲塔戦車の復活には、ここしばらくはならない予感。もちろん、暴徒予備軍のなかをパトロールする、なんていう特殊状況だと、イスラエルのナグマホン*1みたいな珍戦車も開発されるけどね。
おなじように、「切り捨てたデザイン」っていうのは、プロダクト単体では強いモノになるが、その分、欠けたものを支援する必要はある。法務とか財務とか、お客様相談室とか、広報とか。
「支援しないから、自己完結したモノを作れ」っていうと、どんな敵がどこから来ても対応できるような、多砲塔戦車がデザインされ、そんで、正面装甲と主砲に特化した戦車に撃破されちゃうんだろうな。