至近要因と究極要因

"今日は同性愛の適応度と進化の話をしよう"
http://complexcat.exblog.jp/24519332/

曰く「ヒトがなぜ同性愛になるのか、よくわかっていない。同性愛は生物学的に見て病気である。」?
曰く「子孫を残せないのは、生物学的におかしい訳で、自然の摂理に反する。」?

さて?の言説は、至近要因(生理、生体としての機構的要因説明)になっているので、究極要因と分けてなぜという問の片方でしか無いのですが、?についてここで詳細に触れるつもりはありません。強いて言うなら、どういう遺伝的、内分泌生理的な資質があるとみたいな研究も当然されており、それは、病気とか異常性とかいうものとは全く別のレイヤーの話です。ただこれも?が否定されていれば、実は本当に言いたいことは?と同じで、行き場を失う屁理屈ではあるので皆さん安心して下さい。
 古典になりつつあるが、この2つの「何故」は、Krebsの進化生態学なら最初の方で出てくる。あえて言えば?が至近要因がらみで?が究極要因がらみ、どちらも存在否定のために架空の「生物学」が登場しています。
 蛇足ですが、生物に関する事象には、いわゆる2つのなぜ(至近・究極要因の2つの視点からの説明)が存在します。とりあえず、医学系、生理系の研究者だと至近要因解明が基本世界であり、至近/究極の区分の存在自体知らなくても仕事が成り立つ方が普通ですから、知らなくても安心して下さい。林学系とかでも割と進化系の仕事に口出ししてくる方に、その区分を聞いてみたら知らなかったりするので安心して下さい。


家電製品の故障の場合(注:同性愛者は故障といいたいわけじゃないよ)
1)故障品は、生産管理上のトラブルである
2)故障品の出荷は、経営に不利である
ような文字列が考えられるが、じゃあ、故障品を出さないよう、より管理された部品、より管理された製造工程、より厳しい検査、によるコストアップが、客先で初期不良が発覚した場合による損失を上回る場合には、一定の不良率を是とする場合もある。
そんなのを思い出した。