"剥奪指標"

欧米社会では、大都市部を中心に貧困な状況に置かれた人々が多く住まう居住地に健康問題の多くが集中することが、健康の社会的格差の一端として問題視されてきました。これを計測するために、地区の貧困の水準を指標化したものが 地理的剥奪指標 areal deprivation index(以下、剥奪指標)です。例えば、英国では様々な剥奪指標が提案されてきましたが、剥奪指標の値が大きく、貧困の度合いが高いと見なされる地区ほど死亡率などの健康指標が悪くなる関連が数多く報告されています。同時に、居住地の都市化の度合いも居住者の健康と関連している居住地の特性とみなされ、都市化の程度が高いほど死亡リスクが高くなるなどの報告がなされています。

http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3434.html

強調おいら。
経済学的・社会学的な貧困指標(単純に考えれば、地域の(平均)所得を国の(平均)所得で標準化したものとか)でなく、このような指標が提案された経緯は知らないが、先行論文には書いてあるんだろうきっと。

それが、

その結果,主要死因別にみたがん死亡の多くにおいて,剥奪水準の高い貧困がより集中する地域で死亡率が高くなる社会経済的な地理的格差の存在が確認された.とくに格差の大きいがん死亡は,男性の大腸がんと肝臓がん,女性の肺がんと子宮がんであり,剥奪水準の最も高い地区群では,最も低い地区群にくらべ,およそ20∼24%程度の死亡率の超過が認められた.

http://www.ism.ac.jp/editsec/toukei/pdf/59-2-239.pdf

に繋がる、と。