彼を助けるのに必要な金額は

信号待ちをしている紳士たちの向こうに、ホームレスが横たわっていた。
「彼に温かい宿を与えるのに、いくら掛かるだろう」
「1万円あれば、宿泊できて食事もできるだろう」工学者が言った。
「彼らホームレスに宿泊場所と食事を届ける施策には、1億円以上の予算措置が必要だ」政治学者が言った。
「景気を上昇させ、彼でさえも住居を得るためには、一兆円の金融政策でも不足だろう」経済学者が言った。
「ゼロ円だよゼロ円!」それまで沈黙を守っていた最後の紳士は、持っていた鞄からバールのようなものを取り出し、他の紳士達を打ち倒した。彼らの懐から財布を抜き取り、紙幣を取り出すとホームレスに渡す。それに感激した通行人は石畳を剥がし付近の店を襲撃、レジを叩き壊し他のホームレスに渡していった。「さあ、従業員は去った。ここに住むといい」
暴動は広がり、街はアジア的優しさに包まれていった。