ギリシア粉飾問題(2010年始めの話題)

2010年2月28日 (日)
ギリシア問題にゴールドマンの影

以下はNYタイムズからの引用である、ギリシア問題が世界の金融市場を揺るがしていることは報道で知っていたが、しかしその危機的内容は知らなかった。どうやらギリシアEUに加盟するとき受ける財務規制を回避するためにゴールドマンが創設した通貨スワップを採用したようである。そしてそれが現在の危機を増加させたという。

http://meimai.cocolog-nifty.com/twgt/2010/02/index.html

2000年と2001年に、ゴールドマンはアテネが本質的にはローンを欧州規制で明らかにする必要はなかった通貨取引に変えたデリバティブを創設することにより内密の10億を借りるのを助けた。通貨スワップと呼ばれる手法はギリシアが現在16カ国により使用されている一般的欧州通貨ユーロに合流するギリシアに重要であった赤字支出における限界範囲内にとどまるのを助けた。

取引に詳しい数人の銀行員によると、ゴールドマンは取引手数料として3億ドルを稼いだ。2008年にチトロスと呼ばれる英国法人にそれを再編成する前に 2005年にゴールドマンはデリバティブポートフォリオギリシア国立銀行に販売した。ゴールドマンによると、2000年と2001年の通貨取引はギリシアの対外債務を外観上23億6000万ユーロ減少させた。

ユーロ圏の各国は、大なり小なり合法的な不正行為を働いていた(財政基準を守っていなかった)。アイルランドはインフレだったし、ドイツ、フランス、イタリアは大きな赤字を抱えていた。
イタリアは手口が最も巧妙で、負債を証券化して市場で売りさばき、赤字の負債は見えなくなってしまっていた。
いくつかの国の援助を委託されたのが投資銀行である。ギリシアでは、ゴールドマン・サックスが、01年には10億ユーロの公的負債を抹消することを可能にした。JP・モーガンはイタリアに対して同じことをしていたと、ある銀行家は説明している。帳簿上の創造的能力(注:金融工学的技術を指すものであろう)は、民間会社の専売特許ではない。」とフランスのエコノミストは皮肉っている。
ギリシア筋によれば、赤字報告に関する変動が生じたのは、EUの財政基準におさまるようにするためにごまかしをしたからではない、前政府の予算支出を大きくするような会計規則の変更が原因なのだ、会計規則の変更で、04年に軍事予算に関して、兵器引き渡しの時期ではなく発注の時期が財政収支の中に組み込まれることになったからだという話であった。

http://www.asyura2.com/09/it11/msg/459.html

<コメント>
ギリシアの軍事支出はEUのなかで最も多く、NATOのなかでもアメリカに次ぐ。キプロス問題が抱えているため、トルコと軍備拡大競争をくり広げている。80年代末にはGDPの5%であったが、現在でもNATO加盟の欧州国の平均支出1,7%に対し、ギリシアは2,8%の支出をしている。
ギリシアは大変な危機状態に陥っているのに、提携していたゴールドマン・サックスは悠々と生き延び続けている。日本でも、郵貯の資金をアメリカの投資銀行につぎ込んだりしたら、ろくなことにはならない可能性がある。
資金力があり経済危機の管理に熟達しているIMFに処理をまかせてはどうかという話も出ているが、EU機構にとっては大幅なイメージダウンになるので、この方向にすすむことはまずないということのようだ。
ドイツがEUの経済的規制を厳格化すべしと主張するのはもっともなことだが(アメリカには危機的状況になってもFRBのような強い金融統制の機構がある)、結局、最終的に巨額の負債のツケを払わされるのは、EU諸国であるよりも、ギリシアの一般庶民であるということになるのではないでしょうか。