"世川行介著「郵政 何が問われたのか」現代書館を薦める"

http://d.hatena.ne.jp/kenkido/20050908
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b.hatena

「(バブル期に)日本があれだけ金余り状態になったのは、政府が郵貯をパイプにして、たった一〇年ほどで、全国津々浦々の「タンス貯金」を吸い上げたからだ。郵貯の天敵である大蔵省でさえ、郵貯肥大化の懸念よりも財投原資のかき集めを優先した。そしてその一番の悪い結果として、金余りが昂じて日本は経済バブルに突入し、束の間の繁栄を味わっただけで大不況を迎えて今日に至っている。」

「たった一つの経済政策のためだけに、百余年続いて来た、二四〇〇〇局の郵便局ネットワークを、五〇年分くらい一気に使ったのだった。」

「この一〇年ドラマの演出家は財務官僚だった、としか思えない。」

「三〇万の郵政現業従事者の尻を叩き、「業務」と称して貯金募集に明け暮れさせ、そしてその政策が失敗すると一転して、自分たちの責任には一言も触れずに、「肥大化は悪だ」などとうそぶいて、郵貯を国家事業から放逐しようとする。」

「おそらく彼ら(財務官僚)の意識の中では、国営郵貯は財投制度の終焉と同時に役割を終えていて、その認識が今回の郵政民営化の促進剤となっている。」

 内需拡大プラザ合意の実現のため、郵政を利用し、その結末といえる不良投資の責任を郵政に取らせ、民営化させるという話。ただ、プラザ合意自体、工業生産物の対米輸出の増加による貿易黒字拡大と、にもかかわらずな農産物自由化反対という政策の妥協の産物ではなかったか。副産物として、TRONや衛星開発に横槍が入ったり。日本を、工業立国とするか農業立国とするか、中央か地方か、という選択がまず第一にあり、何倍にも及んだ一票の格差を背景として、地方を票田とする自民党の勢力は地方を選んだ。その結果がプラザ合意で、バブルで、バブル崩壊で、現在の状況になる。政治の決定システムの改革、そして郵貯資金の運用を、財務から民間へ移行し、政治的な運用を阻止することに成功することを望む。