ジャンルの盛衰

ラノベの市場規模、関連で
rev.hatenablog.com

ジャンルの盛衰について、たぶん、莫大な論文があると思うが、面倒なので気にしない。


ラノベを念頭において考えると、ブーム以前にもクリエーター、出版と流通、ユーザーは存在している。なんらかの原因、通常、エポックメイキングなタイトルで、ブームが起こると、ユーザーが増加、出版と流通は扱いを強化しクリエーターに発注し市場へ提供、売上高の上がった作品はメディアミックスされ、より多くのユーザーを獲得しジャンルへの参入を促進する、という正のフィードバックが生まれる。たいがいのジャンル、とくに若者向けのエンターテインメントの分野では「卒業」という現象が起きるため、新規ユーザーの獲得に成功しなかったり、既存ユーザーに商材を提供し続けることに失敗するとジャンルの縮小を招く。
(このへんの話、おなじ要素が既存ユーザーの引き止めと新規ユーザー獲得では反対方向に働く可能性があり、非常に興味深い。(すくなくとも従来の)ゲームでは、既存ユーザー向けに重厚長大・複雑化したことが新規ユーザーの獲得にマイナスに働いたとコメントされることがある。JRPG、シューティング、格闘ゲームなど)


ジャンルの盛衰に関わる要素は、内部要素・外部要素・下部要素が考えられる。内部要素・外部要素だけでもいいんだけど。
下部要素は、ジャンルの背景となる技術水準とか社会構造とか、そういう奴ってことにしておこう。
ラノベの場合、出自からして「書籍出版流通消費システム」と無縁ではない。そろそろ飽きてきたので断片的に書くが、電撃組という流通改革の成功が、ラノベというジャンルを底上げした効果はあったろう。また、2013年9月20日iPhone 5sの発表と、そのDocomo取り扱いを一つの転機とする*1スマホの普及は、書店店頭へのラノベ陳列と訪店ユーザーの購買行動というルーチンを破壊し、スマホで得られるエンターテインメント指向を強化する効果があったろう。なにかしらの体験を探しに書店に行ったユーザーは、様々な書籍の中からラノベを購入する可能性がそこそこあったが、体験を探しにスマホを検索するユーザーには、無料のモバイルゲーム、無料のWeb小説も選択肢に加わっているのだ。
内部要素、ラノベの主題とか上手いとか下手とか感動するしないとか成長があるとかないとかはパスね。
外部要素は、競合ジャンルってことで。モバイルゲーの隆盛と、ライト文芸の拡散っていったところかな。

*1:いや、転機は3GSでも4Sでも5でもいいんだけど