"ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略"

ベストセラー・ライトノベルのしくみ キャラクター小説の競争戦略
概ね読了。近年の売れた作品について、その理由を分析したもの。単に、売れ線の紹介だけでなく、行き詰まりについても触れられている。あとがきでは、ネット小説についての言及も。

気になった点をいくつか。
・ユーザーを購買に向かわせるもの
 ユーザーは、何らかの手段で15巻とか20巻まで読み、ああ面白かったと1巻から最新刊まで一気買いする、そんな購買パターンは取らない気がする。アニメ化以前、通例1〜5巻以内で参入するユーザー、コミックスやアニメやアニメやアニメやゲームから参入するメディアミックスユーザー、どのような形態にしろ、原作は「まず1巻を買ってみて、続きを考える」パターンが多い筈だ。そして、脱落するまで買い続ける。ということは、15巻や20巻での展開がユーザーを購買に走らせる状況は少ない気はする。まあ、そういう展開を作者が想定しており、その設定が1巻時点でのキャラクター造形や世界設定を規定し、その作りこみを読者が察知する、そんな形で時系列の辻褄があっている模様。


ハルヒのヒット
P247

結論から言えば、『ハルヒ』はオタク第三世代とオタク第四世代という二世代にまたがって支持されたがゆえに、爆発的なヒットとなったと考えられる。

「単なる第三世代が支持したヒット作品」と「単なる第四世代が支持したヒット作品」を足せば、ハルヒに匹敵する数字が出るか、と言えば、そうはいかない気もする。

ユーザーのリテラシーが充分育っていない時分に、尖ったキャラ造形を特異な設定で自立させることができた、ことが最大のポイントだと思っている。ユーザーのリテラシーが育成されてしまえば、メタな設定なんてつけなくても、残念設定でユーザーは違和感なく創作を楽しめる。出版物としては絵師の援護、そして京アニでアニメ化され、有名なED、またライブアライブでの演奏シーン、などに代表される、動きや歌での援護も大きかったかな。

参考

【男性編】成功したと思う深夜アニメ(2000年代)ランキング
http://news.mynavi.jp/c_cobs/enquete/realranking/2012/04/10_1e.html

【女性編】成功したと思う深夜アニメ(2000年代)ランキング
http://news.mynavi.jp/c_cobs/enquete/realranking/2012/04/10_2e.html