釣らないタイトルは、ただのタイトルだ

第二次世界大戦の日本の戦没者の半分は餓死や病死だった

http://d.hatena.ne.jp/kanose/20110809/japanwardead

というエントリーがある。

 アジア太平洋戦争で死亡したとされる日本軍軍人・軍属約230万人のうち、約6割にあたる約140万人の死因は戦闘による狭義の「戦死」ではなく、栄養失調による病気や飢えだった――。こんな結果を歴史学者藤原彰・一橋大名誉教授(77)が約10年がかりの研究でまとめた。


 藤原さんによれば、食糧について「現地自活(調達)主義」をとった日本軍では補給の途絶などで膨大な飢餓が発生。体力や抵抗力を失い、マラリアアメーバ赤痢などの伝染病や下痢による死亡が相次いだ。

 大量の餓死を生み出した背景について、藤原さんは(1)過剰な精神主義(2)敵の火砲の軽視(3)補給部門の軽視(4)参謀らの机上の空論的作戦主義、などを挙げる。兵士の人権を無視し、天皇や国を守る弾丸や盾のように兵士らを扱ったことなども指摘し、欧米の近代軍隊との差が出たという。

http://iij.asahi.com/national/update/0521/017.html

藤原彰氏の推計では、その約6割が広い意味での餓死(※1)
秦郁彦氏の推計(※2)では、約37%が餓死

※1栄養失調死と、栄養失調による抵抗力低下にによる伝染病等による死亡を含む
※2秦郁彦氏論文「第二次世界大戦の日本人戦没者像―餓死・海没死をめぐって−」

なお、秦郁彦氏も、餓死については「内外の戦史に類を見ない異常な高率であることに変わりはない」と付言しているとのこと。

http://jseagull.blog69.fc2.com/blog-entry-561.html


正確さを重視するなら
"第二次世界大戦の日本の戦没者の半分は餓死や栄養失調による病死だったと藤原彰氏は推計した"
かな。


元の、
"第二次世界大戦の日本の戦没者の半分は餓死や病死だった"
というタイトルだと、
餓死と、(必ずしも栄養失調に起因しない)病死で半分という意味になり、
「病気だからしかたがないよねー」「第一次大戦でも、スペイン風邪でバタバタ死んだし」「ですよねー」
という印象を受ける人も…   …いないよね。


普通の人が、普通の(現地人程度の)生活をしていれば罹患しないような病気でも、
綺麗な水が入手できないので生水を(煮沸しないで)飲んだり、食料が入手できないため痛んだ食糧を食べたり、食用に適さない植物を食べたりすることで罹患する事例があり、そしてそれが死に至った場合、偶然や不運による病死と片づけていいのか、というのが一つの争点かな。