「無料のスキー場」

http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/NOV1975/20101226/p1
いや、もちろん喩え話だ。



「スキー・スノボ無料!」
という宣伝に、彼等は興味を惹かれた。
バス代無料、宿泊代無料だという。
仲間同士で登録し、バスに乗ることになった*1



リフトから降りた彼等は驚いた。
目の前は、断崖の絶壁だった。馬どころか、鹿だって降りられないだろうという急斜面。「無料ゲレンデこちら」というカンバンが付いていた。

一方、右手には、よく整備された、気持よさそうなゲレンデがある。「こちらは有料ゲレンデです。追加料金が発生します」
エクストリームなスポーツマンでない彼等は、ICカードをタッチして有料ゲレンデに向かった。


後からリフトから降りた客の中には、その斜面に絶句し、滑るのを諦め、リフトを使って降りようとする客もいた。
「リフト降下はこちら。有料です」というゲートをくぐっていった。


その後も、彼等は後日決済となるICカードを多用することになった。
無料レンタルのウエアは、冷気が染み渡り、無料の板やボードは真っ直ぐすべらず、無料のリフトは混雑してなかなか進まず、その脇を有料リフトの客が優先搭乗しているのだ。無料の宿泊部屋はすきま風が吹き、煎餅布団で、机がみかん箱だった*2。帰ろう、という意見もあったが、予定外の帰宅バスには高額の費用が設定されており、勿体無いと立ち消えとなった。なんだかんだで、購入した有料アイテムのせいでそこそこ快適に遊べるようになり、そのアイテムを放棄して帰るのも勿体無い、という気分になってもいたからだ。


彼等が雪山から帰ったとき、支払った額は通常、有料ツアーで支払う額を大きく超えたものとなった。
まあ、よくある話である。

*1:いや、2010年の若者はゲレンデなんて行かないよ、というツッコミは無しにしておいてね。話の都合上だから

*2:F組みたいだ