"「他人に暴行を加えた」という理由で行う懲戒解雇の相当性"

http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2010/02/post-80f6.html

 大阪地裁昭和49年5月28日労働判例205号35頁は、次のように判示しています。

右の申請人の暴行に至る動機、態様、労務委員会当時における会社側の結果の認識および前認定の申請人の酩酊の状況等から考えると、申請人の所為は、会社創立記念日の祝宴における所為としては全く相応しくない非常な行為であるとの非難を免れないが、しかし酒に酔ったうえでの行為であり、意図的に暴行を加えようとしたものとは認めがたく、かつその傷害の結果も偶発的なものと認められるから、申請人に対し、会社就業規則第七四条二号にいう「他人に暴行を加えた」という理由で懲戒解雇に至ることは、その処分に至る事実の評価が苛酷に過ぎ、その情状の判定、処分の量定等の判断を誤ったものというべきであり、結局その処分が客観的妥当性を欠くが故に、就業規則適用の誤りとして、懲戒解雇は無効と解するのが相当である。

http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2010/02/post-80f6.html


横浜市の規定
http://www.city.yokohama.jp/me/kyoiku/jinjika/jinji/pdf/shobunrei.pdf
抜粋すると、こんな感じ

事由 戒告 減給 停職 免職
ネットの不正利用 _ _
暴行・けんか _ _
傷害 _ _
放火・殺人 _
飲酒運転 _

 筑紫野太宰府消防組合消防本部(立石敬二消防長)が27日、消防署員の傷害事件に伴う処分を発表し、筑紫野消防署警備第3課南出張所副主任、下田敬太郎消防副士長(30)を懲戒免職、太宰府消防署の一般職員を減給10分1(1カ月)、さらに管理監督責任を問い、消防長ら同本部の9人を文書訓告などにしたことを明らかにした。

 下田副士長は4月16日未明、筑紫野市内の路上を一般職員と一緒に歩いている際、通行中の男性(23)とぶつかったことに腹を立て、男性の顔を殴るなどし、あごの骨を折るなどの怪我を負わせた。
 一般職員は、下田副士長が被害者の救護者を装って警察官に供述した際、口裏を合わせており、下田副士長は5月10日に傷害容疑で逮捕された。

http://cat.cscblog.jp/content/0000203959.html

「社会通念上、一般的な会社員・公務員に求められる倫理水準」
は、たぶん、一様に存在するが、

「特殊な職業や社団等に要求される、倫理水準」、正確には、個々人が要求する倫理水準には個人差が大きい話、と、

今回の事例の「悪質さ」の評価も個人差が大きいという話かな。


上に示したように、もし、力士が通りすがりの一般人に因縁をつけ、骨折させたうえ、嘘の供述をした、なんていう事例であれば、一発解雇も当然だとはおもうのだが。