作品進化論

 *1

 作品には、強い作品と弱い作品があって、強い作品は市場に残り、弱い作品は市場に定着できない。また、下位概念として、流動性の高い作品と低い作品があって、流動性の弱い作品は、やはり市場での定着は困難だ。弱い作品は、過去の強い作品に負けることもあるだろう*2
 だから、送り手は、強い作品を制作しようとする。新しさ、というのは一つの強さだけれど、競争相手も同じ新しさを導入すれば、競争力は失われる。スケールというのは、大きな要因だけど、大規模な作品を制作するには巨大な投資と、リスクと、ユーザーの離反を招く恐れもある*3。精細に描き込んだ絵は、やはり製作コストを上昇させ、シナリオ面への投資を困難にするかもしれない。

 そんなわけで、エチを強さとした作品は、エチが普及するとともにその強さを相対化され、テキストを強さとする作品に追い越された。テキストを強さとする作品の間では、その長さで勝負するものも出現した。結局、倍長ければ倍売れるわけではないことが判明し*4、現在大作志向は沈静化している。もちろん、ただ大きいだけではない作品が作れれば、それは非常に優位に立てるのだが、それができるのは菌類しかいない。


 現在のところ、市場のトレンドとなるような何かはまだ見つかっていない*5という現状のようだ。記号化の進んだキャラクターデザインに、テキストをつけて強度をあげる、萌え商売も盛んになり、それだけで競争力を持てるのは、Leafとか柑橘類とか八月とか、一部のメーカーくらいか*6。単なる萌え絵、悲劇的なストーリーライン、長大なシナリオ、それら単独では競争力を持ち得ないことが判明し、まとまったゲーム+特徴になる何か、という方向で動いているんじゃないかな。同人であれば、開発費の問題をある程度クリアできるので、長大なシナリオも可能になるんだけど、テキスト書ける人はラノベにいっちゃうかな。

*1:えーと、このまえの話題の関連ということで、考えを書いておく。異論反論は、耳をふさいでアーアー聞こえない状態になるかもしれないけれど、基本的には拝聴している。と、エチケットペーパー敷くのも無粋なんだけどね。

*2:正確には、話の順序は逆

*3:マンガアニメ創作で、よくスーパー生き物とかスーパーバイキンが登場するが、現実にはあんまりいない。スーパー化させる投資って、実は投資に見合わないことがおおいのだ

*4:遥香たんはよかったけど

*5:もしくは、あっても私の目に入っていない

*6:ハンコ絵と揶揄されるくらいにまで記号化をすすめたものだけが、競争に勝ち残ったのかもしれない