"萌え系譜の進歩とその展望"

http://d.hatena.ne.jp/cogni/20051215/p1

突き詰める、飽和する、もしくはhabituation等といった言葉で意味を示せる、消費者のある属性への慣れが、嗜好の変遷を産むことを前提として、その進歩の方向性としては三種類の方向があると思われます。

一つはメタ化。

もう一つは遷移とも言える、嗜好の状態変化。例えば、妹ブームから姉ブーム。この変遷過程においては、無償の愛を、影から兄に奉ずる者としての妹から、積極的に弟に愛を呈する姉という、行為主体(=主人公)の能動から受動への変化が見受けられます。

最後のカテゴリは畸形化。腹黒ヒロインを待ち望むO君などの嗜好の変化もこちらのカテゴリに属させようと思います。ただしここにおいては、「本当に腹黒い」のか「主人公を愛するが故に腹黒い」のかどうか、邪悪な行動を起こさせる原因の分別をハッキリさせる必要があり、後者ならば純愛の変化形の一つとして見なすことが出来るが故に、純愛の畸形化としての腹黒がこのカテゴリに属する理由足り得ます。過剰な属性の詰め込み(例えばでじこなど)もある種の畸形化であり、メタ化に通じるものがあります。

つまるところ、我々は快感を与えてくれる他人を望んでおり、そこに主体としての思考は介在せず、自由も存在しないが、それをディストピアとして評するのではなく、ユートピアとして認めるべき時代が到来していることを感じさせます。

 終わりのない停滞の中で、ヒロイン達からラブラブ光線を浴び続けることを望み、停滞に終止符を打つ結婚とか成長は、「可能性」という形でマルチエンドの中に回収し、物語からの離脱さえ、メタフィクションという形で織り込んでしまう、びっくりするほどユートピア