規制緩和は「セフティ・マージン」を食いつぶす。

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規制緩和は、それがただちに大事故に結びつくものではないが、徐々に「セフティ・マージン」を食いつぶす。計算を偽装しなくても、今回の問題と同程度のマンションが合法的に建築されるようになることもありうる。そして、どこまで規制緩和をしても良いかは、いつか大惨事が起きることによって証明されることになる。ここで「設計者・施工者の職業倫理に期待すべきだ」という議論は無意味である。それは「世界中の人々が仲良くすれば、戦争は起きないはずだ」という認識に等しいからである。余裕を充分に取った良心的な設計や、設計者・業者は、コスト面で敗れて採用されない可能性が大きいから、結局のところ社会的に存在しないのと同じになる。

 今回はたまたまマンションという分野で問題が表面化したが、世の中のあらゆる技術的な分野で、「規制緩和」「小さな政府」の影響が表面化しつつある。航空の分野でトラブルや不祥事が続いていることや、鉄道の分野で以前には考えられなかった新種の事故が多発していることからも、それは確かめられるであろう。JanJanの読者の中にも「規制緩和」「小さな政府」を唱導する人も少なくないようだ。あなたが望んだ社会はどこに向かっているかを再考してほしい。