スタティックな社会の成功者は、ダイナミックな社会で成功するとは限らない話。

http://www.nishikoori.com/atuthinks/atuthink0011.htm

私は、ある事を通じて、山一證券の崩壊過程を検証する機会がありました。山一證券のトップリーダーの中には“天皇”といわれ、長らく社内に君臨し続けた人がいます。しかし、その人も、もとはといえばサラリーマンでした。平社員として入社し、係長になり、課長・部長と出世していきました。やがて、取締役(重役)となり、最後には社長にまでのぼりつめました。社長を退いてからも会長となり、“キングメーカー”としての権勢を振い続けたのです。そのトップリーダーにはどのような力が備わっていたのでしょうか。サラリーマンとしての出世競争を勝ち抜くための腕をみがき、社長派、副社長派、専務派…といり乱れる派閥闘争を生き抜き、勝ち残るための権謀術策を鍛えぬいてきたのです。だから最後に勝利したのです。

では、そのようなトップリーダーは、会社経営者としては有能だったでしょうか。残念ながらそうではありません。そのような経営者が山一證券崩壊の原因をつくってしまいました。また、会社存亡の危機に際しても、トップリーダーとして会社や従業員を救うことが出来ませんでした。その結果、多くの従業員や家族が路頭に迷うことになったのです。大変な悲劇でした。もとはといえば、サラリーマンの出世競争に勝ち抜く能力と、会社を経営する能力とは全く別ものだということに皆が気づかなかったからです。

今、同じことが日本の政治に起きています。新入社員=当選1回生議員、係長=以前の政務次官、課長=党の部会長、取締役(重役)=大臣、社長=総理大臣と置きかえてみて下さい。

 そういえば、中内氏が主婦の店を開く前は、メーカー定価即ち売価、だったんだな。