「―――は、―――でなくちゃ」

 昔、ある雑誌(ムック)で、理想の筆記具は、という記事があった。
 筆者は、ある小説家に聞いた。
 「やっぱり、万年筆はおもくなくっちゃね」
 あるコラムニストに聞いた。
 「軽いペンの方が疲れないわ」

 「―――は、―――でなくちゃ」、という論議を見るたびに、これを思い出すのだ。

 勿論、人間工学という学問はあるし、それに、ものには限度がある。1Kgの万年筆、1mgのボールペン(しかも軸の太さが1mm)なんていうのは使いづらいだろう。それはそれとして、キーボードならストロークが長いのが好きな人もいれば、短いのが好きな人もいるだろう。マウス好きな人、トラックボールが好きな人、トラックポイントにスライドパッド。人それぞれなのだ。