"物価指数の計測誤差と品質調整手法:わが国CPIからの教訓"

本稿では、消費者物価指数(CPI)の抱える品質変化・新製品バイアスについて、主としてわが国CPIを題材として検討する。CPIは物価変動を捕捉するための指標として広く利用されている。しかしながら、先進諸国では、CPIが真の生計費の変動を過大評価しているとのコンセンサスが形成されつつある。こうしたCPIの上方バイアスは、相対価格の変動に対する消費者行動の変化、新製品の登場・旧製品の消滅といったダイナミックな経済活動を十分に反映していないことから生じている。CPIの上方バイアスは、物価安定を重要な責務の1つとする金融政策当局者にとって直接的な含意を有している。さらに、より精度の高い物価の捕捉は、インフレのみならず、実質産出量や生産性の計測等、経済活動を理解するうえでもきわめて重要である。

http://www.imes.boj.or.jp/japanese/kinyu/2000/kk19-1-7.pdf