牛を育てる物語

今現在、普通預金金利は0.03%、5年モノの定期預金金利が0.3%だ。
退職金を手にしたが、老後資金に不安を抱える中高年に、非常に寄り添っていない金利である。

年利100%を謳う円天、年利16%を掲げた安愚楽牧場、そのような団体に、貴重な個人資産を預けてしまった人は多い。馬鹿げている、とあなたは言うかもしれない。しかしそれに対して「こちら側」の私たちはいったいどんな金融商品を持ち出すことができるだろう?牛にエビ、原野に円天の荒唐無稽な物語を放逐できるだけのまっとうな金利を持つ商品を、銀行の領域であれ、証券投資の領域であれ、私たちは果たして手にしているだろうか?


…現実が無力だからといって、物語が人を救済すると信じたり、物語による救済を求めたことを無力な現実の責とする人も時々いるっぽい。