譲歩と、約束の遂行と。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20101214

飲み会の支払いの際、たまたまAさんに持ち合わせがなく、同僚のBさんから千円借りました。すぐ返すつもりが、その直後に多忙になり顔を会わせないまま1ヶ月が過ぎました。そして、もちろん期限も決めていないし催促もされなかったので、「忘れてるかな。今頃言い出すのもどうかな。たいした額じゃないし」と思っているうちに、とうとうそのままになってしまいました。

というような場合、Aさんが得たのは「千円」、反対にAさんが失ったのが「信用」です。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20101214

交渉ごとをして、DさんがEさんに譲ったとしましょう。Eさんは自分の主張が通り「よかった!」と思うでしょうし、時には「勝った!」と思うかもしれません。でも、反対にDさんは「譲った」と思っているし、時には「譲らされた」と思っているかもしれません。

交渉ごとで自分の主張を通すのは、ある意味「借金をする」みたいなものです。あちこちで交渉ごとに勝っていると、あちこちで「自分に貸しがある」と思っている人を増やすことになります。

反対に、何かの交渉ごとが発生した時、「ここはオレが一歩引いておくか」とか「今回は助けてやろう」という判断をしたとします。この行為は「貯金をする」のに近い効果があります。これを続けているとあちこちに、「あの人には借りがある」と感じる人が増えるからです。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20101214

 貸しを貸しとして相手(や、上司や、コミュニティ)に認識させ、返済を確約させない貸しは、不良債権になる可能性大っぽい。


ゲームの理論における、しっぺ返し戦略(tit for tat)なんかも参考になるが、これは、ある条件下のあるゲームである戦略が勝った事例がある、というもので、それを世間一般に援用する際には注意が必要というか。
http://cruel.org/candybox/axelrodhype.html
とか。