説得力が無いマズロー説

マズローの欲求5段階説が引用されていますが、僕は(少なくとも今日においては)マズローの説はあまり説得力があると思えません。よく定説のようにして引き合いに出されますが、具体的な実証データを見たことがありませんし、逆に「待遇は悪くてもこの仕事を誇りに思う」のように「生理的欲求を犠牲にすることを厭わない人」を目にするのは珍しくないですよね(でなければ警察官や消防士といった職業は成り立たなくなってしまうでしょうし、時給たった110円の危険手当で不発弾処理に当たる自衛隊もいなくなってしまうはず)。他の欲求が満たされないと自己実現はできない/しようとしない、また自己実現できないと責任を外部に求める、というのは極論ではないでしょうか。

http://blogs.itmedia.co.jp/akihito/2008/05/post-e3fc.html

このマズロー欲求段階説は、組織心理学において、従業員の動機付けの説明として利用されてきました。しかし本来は、人が成長する過程で満たされる欲求として五つの段階を位置づけた、いわば精神的成長の過程の説明でした。短期的な動機付け理論として利用すると、見誤る場合があります。たとえば、給与を上げ、環境を改善すれば生理的欲求、安全の欲求が満たされ、帰属の欲求へとつながるというのは、当然、短絡的にすぎると言えます。


また、自己実現の欲求についても注意を要します。何に自己実現を感じるか、やりがいを感じるかは人それぞれであり、そのことを「管理」するのは非常に難しいことです。従業員と一緒にやりがいを「発見する」というような、創造的なコミュニケーションが不可欠になってきます。この説の原点に立ち戻るなら、従業員の「人間的成長」を促していくフレームワークとしてとらえた方が、より本質的です。

http://www.innovetica.com/resource_02.html

 なお、一般には、実証研究では、この説を支持する十分な結果は出ていないとされている。
 しかし、直感的・体験的に理解されやすく、しばしば引用されている。

http://www.nihonkaigaku.org/ham/eacoex/100econ/120doms/123cons/1231prv/maslow/maslow.html


 もちろん、固定的な階層を仮定することの適否はある。また、リアリーらの所属欲求理論では、所属欲求を根源的なものと見なしているそうだ。



 ともあれ、「食事を削っても、自己実現に邁進する行動」を説明するために、欲求階層説が提示されたような気がしたが、気のせいだったらしい。