資質を見抜く、たった一つの質問

「もし自分が経営者でコピーライターの社員を雇う場合、あなたは入社試験でどんな質問をするでしょうか?」
 質問自体はコピーライターの専門家でなくても何とか考え出せるものだ。だがよい答は難しい。
 仲畑さんの質問は「あなたがいいと思うコピーを10個書いてください」というものである。仲畑さんによれば、この答を聞いただけでだいたい能力がわかるというのである。もしあげた10個のコピーがセンスの悪いものだとすればその人に見込みはない。センスの悪いコピーライターを雇ってしまえば、その人に毎月払う給料はドブに捨てているようなものだ。経営者にとっては深刻な問題である。

http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=60769&pg=20080226

 そもそもコピーを10個あげられない人がいれば、勉強不足である。最近は入社試験でしっかり業界研究せずに、ただ憧れで受けてしまうことがある。だから最低限勉強して来いというメッセージも含まれる。また母集団が20個から10個選んだのか、1000個から10個選んだのかで、その10個は違ってくる。10個出せるかどうかも重要だが、選んだ10個の母集団も重要である。
 たとえばお菓子業界のコピーだけをあげてくれば、その人は非常に片寄った勉強をしていることになる。一方いろいろなジャンルから選ばれていれば、アンテナの幅が広い証拠だ。答から、それが出された貯水池の奥行きを推しはかることができる。

 そういえば、僕も学生時代、「30歳女性の腹痛の患者がいる。鑑別疾患を10個挙げろ」なんて教授に質問されて絶句していたものです。今なら、それぞれの疾患の発生頻度や危険性などを考慮した上で、すみやかに答えられる質問ではあるのですが、当時は「うーん、交通事故、打撲、虫垂炎!」などと苦しまぎれに返事をして、「どうしようもねえなこいつは」という視線を浴びせられていたのをよく覚えています。

 ジャンプかどこかだったかな。有名な投稿者がネタ作りの秘訣を聞かれて、山ほどネタ帳にネタをメモする、と答えていた。合戦でも、自分の取りうる策10個と、敵の取りそうな策10個とかリストアップすれば、泣いて馬謖が斬られる羽目には成らなかったかもしれない。
「どうする?」
「山の上に陣を張ります」
「じゃあ、山の上に陣を張った敵に、貴殿ならどう戦う」
「地の利は向こうにあるので、直ぐに戦いを挑まず包囲します」
「包囲して、水が…あっ」
「やだーいやだーい。ボク、軍功を立て出世するんだ。水が無くても降伏はゆるさん。ボクは、ちょっと軍議があるんで先にいくね」


これでよし。