いろいろ書こうとしたけど、リンク先のリンク先が面白すぎるので紹介。

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20061120/1163989778

これは、ぼく一人の話ではなく、案外、古来から「化膿」と「腐敗」は印象のうえで区別されてこなかったのかもしれない。「化膿」と「腐敗」では、その現象が起こっている場所が生命を帯びているかどうか、血流や免疫などの活動があるかどうかという決定的な違いがある。だがそのことは「見た目」の印象で覆い隠されてきたのではないかと思った。

イラクでのアメリカ軍と創感染

http://www.wound-treatment.jp/next/wound189.htm

 アメリカ軍によるイラク占領がもしかしたらうまくいかないかもしれない,ということは,医学的にも証明できるような気がする。なぜなら,アメリカ軍がイラクでやろうとしている「テロ撲滅」は「傷の消毒」と同じだからである。

 つまり,ゲリラ組織(創面の常在菌)を根絶やしにしたかったら,通常の武器(消毒)なんて生ぬるい手段を使っても無駄なのである。核兵器(傷をガスバーナーで焼き尽くす)くらいの事をしないといけないのである。もちろん,この作戦をとったら,後でさらにまずい状況(組織が破壊されて感染しやすい状況がのこる)になる事は言うまでもないだろう。


 では,アメリカ軍は創感染や創傷治癒から何か学ぶことがあるだろうか。これが大ありである。


 まず,テロなりゲリラなり,そういう活動(=創感染)が生まれた背景・環境を知る事である。原因もなしに,これらが生まれる事はないのである。テロ(通過菌)を根絶やしにしろ,と言っているうちはいいが,ゲリラ戦となると話が違ってくる。ゲリラ(創面常在菌)はそれまで普通の市民(皮膚常在菌)である。つまり,ゲリラはけしからんといって一掃しようとすると,一般市民まで殺さなければいけなくなるだけだ。


 それよりは,一般市民がゲリラ活動に参加するようになった社会の背景を分析し,その原因を取り除く事が先決である。創感染の場合はその原因は異物や壊死組織などだが,ゲリラの場合は,自分達の民族の尊厳が踏みにじられたとか,不当に扱われているとか,文化を否定されたとか,民族や宗教で差別されているとか,そういうのが根本にあるはずだ。ゲリラ戦が長引くのは,そのような一般市民の意識が背景にあるからだろう。


 創感染も同じで,感染が起こる背景(異物や壊死組織などの原因)を放置しておいて,抗生剤を投与したり感染創面を消毒しても全く効かないのである。


 というわけで,アメリカ軍が現時点でとっている作戦は,「傷の消毒」と同じなのである・・・と思う。一事は万事に通じ,万事は一事に通じる・・・はずである。

 そう。消毒が有効でない理由は、ゲリラを根絶やしにするのに武力を使うようなものだと。
 傷の治癒に、湿潤療法による肉芽の上昇が一番であるように、テロの根絶には経済成長が一番なんだけど、これはなかなか難しそう。