「東京郊外 TOKYO SUBURBIA」という写真集がある。なんの変哲も無い東京郊外、ぶっちゃけていうとチバとかサイタマとか神奈川の横浜じゃないあたりとか、のマンション群とか新興住宅地の風景を、大判カメラでシャープに撮影したものだ。
ロードサイドのマクドナルドにゲームセンター、ファミレスとディズニー・ランド。極彩色の看板が眼に突き刺さる。 歴史の浅いこの街で育つ若い人たち。彼らにとっての”帰るべき故郷”、”帰るべき風景”は今から50年経ってもこの人工的な街以外にあり得ない。
http://www.kanroshobo.com/junpo/junpo2310-12.html
http://d.hatena.ne.jp/matakimika/20060830#p3
クリアな日差しに程よい空気透明度、そして焦点の狂ったおれの目に映る街の景色から住宅地へ、河を渡ってゆくその両岸のアパート群、ひとつひとつのオブジェクトが克明に、しかし(高速道路から眺める景色は大概そうだが)まるで自分と無関係の別世界にあるような、まあ事実おれはたぶん今後に渡ってあのように眩しく美しくある意味グロい世界に住むことなど決してないのだろうが、とにかくにも地上を埋め尽くして視界よりはるか遠くまでひろがってゆくのであろう巨大なミニチュア感。
"「郊外」における自動車文化を『グランツーリスモ』は上手く汲み取った"
http://d.hatena.ne.jp/TRiCKFiSH/20060825/p2
そうでしょうね。しかし、なぜ『グランツーリスモ』はヒットしたのか? そこには、「郊外」というキーがあります。
そこでは、自動車がさまざまな意味で機能するんです。まず、移動手段として欠かせない。人口が100万人以下の政令指定都市では、車がなければ動くことができません。そして、そういう街には娯楽も少ない。街に繰り出したくても、「街」がないわけですから。
そんな地方都市の風景とは画一的なんですよ。大きな道路沿いは、大型書店、ファミリーレストラン、パチンコ屋、ラブホテル、コンビニの繰り返しです。『夕闇通り探検隊』は、古きものも残っている東京郊外をモデルとしていましたが、ああいう感じではないんです。モノはそれなりにあるんだけど無個性なんですね。茫洋とした印象で。
──わかります、わかります。
では、そんな郊外に住む若者は、どんな生活をしているか。ステレオタイプなイメージですが、たとえばデートであれば、車でドライブし、ファミレスで食事し、どこかで夜景を見て、ラブホテルでセックスという流れですよ。あるカップルは、「新装開店」のパチンコ屋で金をすった後に、しょうがないからカーセックスという流れかもしれないけど(笑)。まぁ、どっちにしろ車は欠かせない。
──生活必需品なんですね。
それだけではありません。郊外では自動車はステイタスの証としても、強く機能するんです。つまり、車しだいでモテたりする。都会に住みつづけている人には信じられないかもしれませんが、「趣味・ドライブ」という人はとても多いんですよ。
しかも、車って非常に娯楽性が強いんです。さまざまなカスタマイズが可能ですからね。さらにカスタマイズの善し悪しが、ひとつのステイタスの証になったりする。
──そうらしいですよね。
『グランツーリスモ』は、そんな層の心を的確に掴んだわけです。単なるレースゲームじゃないですからね。最下位でもポイントが貯まりますから、それで車をカスタマイズできる。それは地方の郊外に住んでいる人にとっては、非常に楽しいはずです。