iPod開発話

http://techon.nikkeibp.co.jp/NE/navi2006/s2/ipod_6.html

 もっとも本当にiPodの外形寸法を決めたのは,プリント配線基板よりも,HDDやLiポリマ2次電池である。「我々がラッキーだったのは,iPodのコンセプトを固めたときに,うまい具合に新しい技術が登場したこと。そう,薄型のHDDと薄型の2次電池のことさ」(Joz)。

 皮肉なことに,これらの部品はいずれも日本製である。Liポリマ2次電池ソニー福島製,HDDは東芝製だ。

 「僕らは,何でソニーが同じことをやらないのかってよく聞かれる。間違いなく,僕らはソニー以上にソニーらしいことをした」(Joz)。

 東芝Apple社の違いを端的に表すのは,製品の価格戦略である。p. 236の分解写真にあるHDDの型番は「MK5002MAL」。林檎の絵が描かれてはいるものの,東芝が2001年3月に発表した製品と同じ型番だ。

 東芝は,この機種を組み込んだとみられるPCカード大のHDDを,2001年7月に発売した。実売価格は5万円程度で,2.5インチ型HDDなどと比べて相当高かった。当時は1.8インチ型HDDを供給できるメーカーは東芝しかなく,市場はほとんど皆無の状態。出荷台数が少ない以上,価格が高いのはやむなしとの判断だった。

 これに対して,Apple社はiPodを399米ドルで発売した。東芝のHDDだけでなく,各種のLSI,液晶パネル,2次電池まで含めてだ。Portelligent社は,iPodに組み込まれたHDDのOEM価格を125米ドルと推測した。iPod全体の売上原価(COGS:cost of goods sold)の予測値は199米ドルで,iPodの価格の約半分と見積もった。

 要するに、「単価を下げて赤字が出たらオレの所為、単価を上げて売れないのは営業の所為」という話。