ふうこぶんこ

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 ほぼ読了。タイトル通りの同人文庫であった。
 総評としては、文が固い御話が多かったことが印象に残った、というところ。えーと、日常会話は、ランダムな単語を投げるだけで通じる。っていうか、複雑な関係代名詞を駆使した日常会話のほうが変だ。だけど、地の文、説明文は、きちんとした文章であることを要請する。全世界の誰も要請しなくても、要請する。具体例は避けるが、接続詞の構造がヘンだったり、言葉の用法がヘンだったり、細かいところでつっかかる。また、地の文の視点がブレ気味なのも目につく。

 ・風子の恩返し ヒトデパンを作る話。風子が頑張る話であれば、朋也がモノローグで頑張ったなと記述するのではなく、頑張る姿を描いて読者が頑張ったなうんうんと思うような展開が好み。言葉の掛け合いは○。

 ・シャングリ・ラ 渚BAD後。ベテラン(?)だけあって、引っかからない文章。朋也と汐と風子の風景。涙。

 ・君のいない間に… 風子、Epilogue前。順当な描写。

 ・それでも世界は回っている ちょっと硬質な文体を使って、外部の視点で描くことみルートとのクロスオーバー。結構アイディアは面白い。で、このSSの作者のせいではないけど、自然科学系で論文を書いた紙片を大事にするという状況が、ちょっと想像がつかない。理論物理学では、ありうる話なのかな。「世界を変革するほどの、アイディアが記載された紙片」と解釈しておく。